凛の、ちょっとした思いつ記

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<<   作成日時 : 2009/06/02 02:54   >>

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ここのところ、自ら求めてオーディションやらワークショップやらに顔を出している。
そんな中でいろいろ思うことがあったので、仕事とか守秘義務とか支障のない範囲でいくつか書こうと思う。

この間あるオーディションにコールバックされた。40代の母親役。20代の息子がいる役だ。
一家の精神的支柱で、どーんとした「ザ・関西おかん」という感じだろうか。
オーディションの時間待ちと化粧に行ったお風呂に、サービス精神も面倒見も声の大きさも過剰な、
そんなサンプルが山ほどあった。
あのパワーを出すためには体重がもう20kgくらいほしいな、と思ったが。
年齢的には、まあちょっと上だけど、やれないというほどではない。
それよりも、20代の子の親、という感覚は私にはまったくないので、想像するしかない。難しい。
私は「○○さんちの娘」という立場にしか立ったことがないからだ。
石女(うまずめ)であることは、今私の中で最大級のコンプレックスであるので、
この想像は自分を切り刻むことで、今特に精神的にすごく苦しく、痛い。
それでも、その痛み、手に入らなかったからこその切望を手がかりに探すしかない。
その渇きがあるからこそ強く求める、より強くわかる、ということもあるだろうと思うし。

そのオーディションはワークショップ形式で、いくつかのシーンがあり、その場で役を振られて演じる。
当然私はその母親役のシーンを振られてやったのだが。
その結果はどうなのかわからない。それは選ぶ側が決めることで、私の管轄外だから。
今言いたいのはその話ではない。

そのあと、別のシーン、青年と彼が妊娠させた元恋人のシーンがあり、当然ながら、私は見学していた。
青年は妊娠した女を残して逃げるように田舎に返り、金だけを送った。
女はこいつはだめだろうなと思いつつ、金を返すためもあって訪ねて来た。
そんなシーンなのだが。

途中、二人の体が触れる瞬間があった。
そのとき、私はわかっちゃったのだ。実感として。
それだけのことがあった男と女なら、触れた瞬間に、ものすごいフラッシュバックが起こる。時間が巻き戻る。
もちろん、それでやり直せるとかいう未来があるとは限らないけれど、
体の中をガーッと、いとしさやら懐かしさやら情やら欲望やら夢やら憎しみやら、
もう、いろんなもんが走馬灯状態で駆け巡っちゃうはずなのだ。
それを全部感じて、体の中を駆け巡らせてから、ゆっくり次の行動に移ればいい。今なら、私なら、演じられる。

そんな感じのダメ出しも出ていたのだが、そのときやっていた女優はあまりぴんと来ていない風に見えた。

以前本当に好きな人がいて、あるとき、掌が触れただけでもイッチャウんじゃないかと思ったことがある。
そして、本当にイッちゃったことがある。宇宙人のチャネリングセックスじゃあるまいし。
相手はどうだったろう。こわかったかもな。…いや、それはまあよいとして。

実感としてあんなにリアルに感じられる私には、もうその役は回ってこない。
私は小さな手がかりで、必死になって自分からは遠い想像を手繰り寄せている。
悲しいな、と思った。

昔友人が「いつの間にかハムレットがやれない歳になってしまった」というのを不思議に思ったことがあるけれど、
今その本当の意味がわかった。

私のプロとしての初舞台は『どん底』のナターシャで、でも今なら間違いなくヴァシリーサだ。
いや、私の柄ならヴァシリーサで当たり、なんだけど。
昔ならどんなに柄ぴったりでも、やりたくても、こなかっただろう。やれる間に、その機会は来るだろうか。

『ダニーと紺碧の海』というJ・P・シャンリィの二人芝居がある。
最初読んだときはなんだか無残で痛々しくて、理解できなかったけれど、
ある芝居をやって、それからちょっとつらい経験をして、読み返したら、自分の言葉のようになっていた。
でも、きっとこれも賞味期限がある。もしかすると、20代、30代,40代…とそれぞれのロバータが。
私の期限内に巡り合えるのか…

私はどうしようもなく女であるのだ、と思った。
おっかさんは難しい。マダムや、バリキャリや、いっそ外人のほうがハマるみたい。でも、女。
40代の母親よりは、200歳の妖婆の方が近い、やりやすいかもしれない、とすら思う。それは芝居の要求する嘘の違い、だから。
母親は、遠い。でも、それを求められる(というか、求められるのはそこばかり)の年恰好になってきている。
自分の存在の中途半端さに、ちょっとめまいがした。

…と、これはシビアな話のほう。明るく楽しいオーディション話はまた明日。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰してます。
ちょっとサボってたので、10記事ぐらい一気読みしました。
この記事を読んだとき、いきなり頭の中に流れてきた曲・・・
中島みゆき「永遠の嘘をついてくれ」
なんでか分からないのだけれど・・・
みぃ
2009/06/10 21:49
>みぃさま

その曲は知らないのですが。
調べて聞いてみようかな…

2009/06/11 02:50
探すなら、吉田拓郎で探したほうが見つかりやすいかも・・・
みゆきさんが拓郎さんのために書いた曲です。
YouTubeで「つま恋ライブ」の映像が多数上がってますです。
2人の競演は揺さぶられますよ。
みぃ
2009/06/11 07:49

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