凛の、ちょっとした思いつ記

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zoom RSS そこで、確かに、生きていた

<<   作成日時 : 2005/12/21 13:26   >>

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『ポプコーンの降る街』公演が無事終了しました。
ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。

正直、今は放心状態、抜け殻、白い灰って感じです。
頭の中を音楽やセリフの断片がまわるだけ、何も考えられない。
でも、毎日このブログを楽しんでくださった方もいるようなので、総括をと、ネットをあけました。

今回、本当に沢山の、初めての、いい経験をしました。
何が一番驚いたって、毎回、舞台へ出て行くことがこんなに怖いなんて
本当に、そこで何が起こるかわからないと感じながら、舞台に飛び出していきました。
実際起こることは台本に書いてあるのです。それをセリフとして覚えてもいました。
でも、今回は、『その状況の中に身体だけをもって入る』「ゼロ」の状態を、本当に感じることができました。
「セリフは決まっているけれども、それをその時初めて喋るように」とはよく言われる言葉ですが、
今回は、本当に舞台上で立ち往生するのではないかと恐怖を感じるくらい、その「時」だけを生きていました。
まあ、せりふは覚えているんで、出てくるんですが。
本当に、その時初めて話をしている感じでした。
毎回、言い方も、受け方もお互い違う。それでもちゃんと、転がっていく。
相手役の川野さんがメールで下さった言葉を借りれば
「毎日違う人生をやり直しながら同じ運命にたどり着いていく」本当にそんな感じでした。
ひとつ、新しい目が開いた。舞台上で生きるってこんなことかも。そんなことを感じた舞台でした。

第一場生活に疲れた感じで「なんだこの変な女」という登場。猫背でバタバタと、まくし立てて。
第二場、不思議な老人との出会い。その存在に吸い込まれるように、固まっていた心が解けていく。
第三場、かごの鳥から野原を飛び回る鳥へ。大きな変身。少し無理して背伸びをして。
それと同時に、自分の中に封印していた過去の思い出を解こうとする。
もしもそちらの道を歩めていたら、どんな人生がまっていたのかとの思いで。
(桜澤凛としては、いつも芝居で邪魔にしている「バレエの身体」の解放でもあったシーン。かっこよく立っても、きれいに動いても良かったので)
第五場、背伸びのしっぺ返しとして痛い目にあって飛び込んでくる。
傷ついた中ではじめて探偵を受け入れることができ、会話が成り立っていく。
二人で、「手に入らなかった18年」を呼び戻していく作業
そして、全ての悲しい思い出を覆い隠し、二人を祝福するようにポプコーンが降る

心も身体も、振り幅一杯。桜澤凛の持てるもの全てを注ぎ込んで、棚卸状態でした。
オバハンからいい女まで、17歳の少女から35歳の女まで、全てを体現しなければならない。
20歳で時間が止まってしまった恋人に、あこがれる17歳の気持ちと包み込んであげたい35歳の気持ちを両方持って。
今思っても、本当に、女として、そして女優として、これ以上ない大変さと幸せさであったと、涙が出てきます。
こんな作品、こんな座組みには、もう逢えないと思う、きっと…

打ち上げは、そのままスタジオアキラで、セットを半分ばらした状態で行われました。
すごく恥ずかしかったのだけれど、やはり、一人で泣いてしまいました。
半分になったセットがたまらなかった。そこで生きていた私が半分死んでしまったのだなあと実感されて。
本当に、プロらしくない。情が深すぎて、困ったものだと思います。
ちなみに、打ち上げのメニューは、山口あきらシェフ特製の、ソーセージペンネ、サラダ、あげワンタンの中華?たれかけ。その後、テーブルの上が寂しくなる度に、ぺペロンチーノやら、たこのピリ辛いためやら、次々出てきました。この人、何者?本当にあきれるほどスゴイ方です。
私、ザーサイの和え物作ったんだけど、いつも使ってるザーサイと違ってかなり塩辛い素材だったんで、ちょっと失敗。あれ、ビールに合うんだけどな。クヤシイ。
智ちゃんは、自宅から電気タコ焼き器を持参して、サービスしてました。さすが、大阪人!
稽古場と同じ、のんびりほんわかとした、優しい打ち上げでした。

大部分の方が帰られた後、私は残って打ち上げの後片付けをしつつ、ちょっとイタズラ。
劇団大樹と、スタジオアキラへ感謝と愛を込めて…お掃除を。

いよいよ、スタジオを立ち去るとき。
毎日少しずつ持ってきた衣裳や小道具やメイク道具を山ほど抱えて、ペーパーバッグレディみたいな珍妙な格好になりながら。
川野さんに最後の挨拶をして、振り向かないと決めて駅に向かって歩きました。
曲がり角。やっぱり、耐え切れなくなりました。
振り返ると、まだ、劇場の前で、彼は見送っていてくれました。ウインドブレーカー一枚で。寒いのに。
駆け戻って、抱きつきたい衝動に駆られました。
男女の愛情とは違うけれども、間違いなく魂が一つになった瞬間があった。
共同制作の芸術をやった事のある方にしか伝わらないかもしれないけれど、
何かを一緒に創り出した、仲間、同志。作品を孕み、産み出した、父たち母たちの一人として
本当に、いとおしかった。
深々と頭を下げ、振り切るように角を曲がりました。
彼も同じように頭を下げているのを感じながら。
…そうして、私の『ポプコーンの降る街』の幕が、本当に降りたのでした。

ながいブログになりました。付き合って読んでくださった皆さん。ありがとうございます。
女神み群杏子さん、信頼する憧れの人山口あきらさん、優秀で暖かく優しいスタッフの皆さん、
一番大変だったであろう制作のまさみさん、色っぽい牧口さん、細かい気遣いの山田じゅんじゅん、何もしてあげられなかったけど可愛くてたまらない智ちゃん、
そして、大事な恋人風太郎で、このカンパニーの主宰、川野誠一さん。
本当に本当にありがとう…

次は、いつこんなに全てを注ぎ込めるものに出会えるのだろう。
これからやってくる、鬱期が怖いです(T_T)

微熱の箱―み群杏子戯曲集
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
凛さん、舞台お疲れ様でした!
うまく言葉で表せないのですが、観にいって良かったと心から思いました。そしてお芝居の楽しさを改めて実感しました。
凛さんが演じられた、美都という役、色々な面が観られて良かった(演じるほうは大変でしょうけどね。でも熱演されてるのが充分過ぎるくらい伝わってきましたし)
でも一番初っ端のサラダ油を持って出てきた時がインパクト強すぎですかね。(笑)

スタッフ様の応対も気持ち良かったです♪
(当日で行ったのに、前売料金にもしていただき、ありがとうございました!)

白い灰と言わずに、また次の舞台観られることを期待しています。絶対行きますから♪
TAI
2005/12/22 00:32
凛さんお疲れ様でした。
臨場感あふれるリポートのUPに遠くに住んでいるわたしにもびんびんと緊張と興奮が伝わってきて、とてもどきどきはらはらで感動的な体験でした。
いつか凛さんのお芝居を観にいけるときが来る日がいいなあという思いを一段と強くしたこの数日でした。
ほんとうにお疲れさまでした。
hachi
2005/12/22 03:19

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