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zoom RSS 生老病死のとなり

<<   作成日時 : 2014/10/26 03:02   >>

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遠い親戚のお葬式に父の名代で出てきました。

祖母の実家の弟さんの奥さん、つまり父の叔母さんのMさん。
叔母といっても、祖母が長女で弟は末っ子だったので、ほぼ一世代違って、M叔母さんは父と同い年だった。
3年前、うちで看ていた祖母が99歳で亡くなった時にも来てくださった。
長生きの家系で、祖母の妹も90代で生きているが、そのうちの一人、子無しの人のいろいろも看てくださった、面倒見のいいかただったと聞いている。

その方の息子さん(つまり父のいとこ)は、ミュージカル俳優のZさん。
たぶんミュージカル好きな人なら知らない人はいない。
私みたいな、「知る人ぞ知る」っていうか「昔ちょっといい役吹替えてました」って程度のとはレベルの違う、
「職業は俳優です」って胸張って言いきってしまえる人。

うらやむとか、卑屈になるとか、そういう変な意味じゃなくて、親孝行だな良かったなうらやましいな、と思った。
メインで立つ大きな舞台。錚々たる方々からの葬儀の花輪。
そして何より「うちの息子、俳優のZなんです」と誇らしく思っていらしたであろうお母様。
その誇らしさが、何よりの親孝行だ。

私は(もちろん作品にも自分の演技にも誇りはある。…けれど)俳優としてさほど認められず、
かといって、人間として生物として最大のクリエイションである「母になる」ってこともできなかった。
能力はあったのに、そう言われ続けてきたのに、中途半端。
ファンの方々、応援してくださる方々に喜んでいただきたくて俳優をやっているのに、
最大の応援団である身内も喜ばすことができなかった。
俳優として成功した姿を見せてあげることができなかった。にもかかわらず孫の顔すら見せてやれなかった。
その不甲斐なさ。本当に申し訳なく思う。
その上、介護看護のごたごたを口実に、ほとんど現場を離れてしまっているし…

この3年、斎場で何度も思う。人間はカルシュームか電気信号か。
火葬して残る骨はカルシューム、脳のシナプスのつながりは電気信号。
では、アルツハイマーでシナプスがつながらなくなってきた母は、母ではなかったのか。
もっともっともっと、できることはなかったのか。
しょうもない哲学が頭の中を回る。

いや、人間は関係性かもしれない。
母が空っぽの肉体になってしまったのが悲しいというより、父が泣いているのが切なかった。
母の親友が母のことを語っているのが切なかった。
父と母との関係、母と友との関係の中に、母がいる。
だから、空っぽの肉体を焼くことは、入れ物だけって感じがして、そんなに悲しくはなかった。

ほんとに悲しいのに、その「悲しんでいる自分」を覗きこんでいる自分がいた。
演技に役立てようとか、そんな冷静で安い功利的な考えではなく、思わず知らずそうしてしまう役者の業のようなもの。
今日のZさんにも、きっとそんな瞬間があった気がする。

母と祖母が相次いで亡くなって3年。父の大手術から2年。
私は(司会の仕事とボランティア朗読を除いて)初めて舞台に立つ。
大がかりなZさんのミュージカルとは正反対の、手のひらに載るような小さな、でも小さいからこそ愛おしいリーディングの舞台だ。
(偶然だが、4年前と同じ劇団への客演だ)
稽古に入ってしみじみ「ああ、前の舞台の時はママまだ生きてたんだわ」と思った。
もう3年。まだ3年。
それがとても不思議な感じだ。

一つ生老病死を越えると、物事の大事さ、優先順位がちょっとだけわかった気がする。
それから、生と死は正反対ではなく、すぐ隣にあって、ちょっと隣に引っ越しただけ、そんな気もする。

表現者として何かに気づいたことで、演技が目覚ましく変わる、なんてことは、きっとない。
身内の死って、そんなに軽いものじゃない。演技って、そんなに安いものじゃない。
でも、考えること、気づくこと、表現者にはその「ちょっとだけ」が大事。きっと。すごく。



なんか、とりとめのない書き散らしになったけど…

母の時に書きたくて、でもまとめられなかったものを、今日追体験したことで少し書くことができました。
M叔母様、ありがとうございます。
ご冥福をお祈りいたします。



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