凛の、ちょっとした思いつ記

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zoom RSS 『その人』を形創るもの

<<   作成日時 : 2010/11/18 12:11   >>

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今回の公演はオムニバス。
だから、『ポプコーンの降る街』は3シーンだけの抜粋だ。私はその2シーンに出る。

『探偵と娘がやっているうらぶれた探偵社に、サラダオイルを持った女が飛び込んでくる。
「あなた私をつけてたでしょう」と文句をつける、妙な女。
女が去った後、探偵は激しい頭痛に襲われる。

女は路地裏で老人と出会う。着の身着のままで出てきた女は身体を売る決心をする。(今回上演)

鮮やかに美しくなった女が探偵社にやってくる。稼いだ金をすべて使って、18年前会えなかった文通相手を探して欲しいと依頼する。

客に乱暴された女が探偵社に逃げ込んでくる。

探偵は「文通相手は僕だ」というが、それ以外の記憶が無い。
二人で記憶をたどるうち、探偵は女に会いに来る手前で事故死しており、女に会いたい女を探したいために探偵になり、いまは「思いだけで存在」していることがわかる。夢の中でやっと「会えた」二人の悲しい思い出を隠すようにポプコーンが降り積もる(今回上演)

誰もいなくなった探偵社に男がやってくる。夕飯の支度で着の身着のままでサラダ油を買いに出たまま失踪した妻を捜してほしいという』


これが、『ポプコーンの降る街』の大まかな流れだ。

普通の芝居は、ちゃんと本が書かれていて、ちゃんと演出が機能して、ちゃんと役者が演じていれば、
お客様は話に乗っていくだけで、普通は『どんな話を見たか』わかる。
(ところがそれすらできてない芝居が多くて困っちゃうんだけど。まあ、それは別の話)

だが、今回のように部分抜粋だと、その流れが無いので、お客様に理解していただくのはちょっと大変だ。
そのために、テキレジ(テキストレジー。台本を削ったり直したりすること)をしたり、演出的な部分でフォローする。
今回の演出平野智子さんは、とても明晰にテキレジをしていった。聡明な「理の人」だ。

けれど…私たち演者はもっとややこしい。理が通るだけではすまない。

今回私は、変な登場のトップシーンも、鮮やかに変身して再登場するシーンもカットされている。
もちろん、それがあったことにしてやる手もあるのだが、お客様と共有していない情報だから、それは不親切だ。
となると…
今回お客様がご覧になる2シーンの台本にある情報では、この女がどんな人なのかぜんぜん描けない。
どうやって、この場面にいたらよいのか、どういう風に生きて来て、どういう風にものを考える人なのか…
稽古をしていて、最初とても気持ちが悪かった。『居方』がわからない。
普通は迷ったら台本に戻るべきなのだが、そこにはカットされたものしかない。

数回しかない稽古の最後のほう、衣裳決めがあった。
2シーンめの衣裳。私が5,6点持ってきたドレスの中から、演出の平野さんが全く迷いなく「これ」、と選んだ。
わたしは、ああ、と思った。
演出家が作ろうとしている方向が見えた。気がした。
平野さんは、美都を『こんな服を着るような女性』と思ってるんだ。
そしてそれを着て出れば、お客様とも共有できる。『こんな服を着る女性』。
それは前回の演出が選んでいた『上品で上質な』ものとは全く違う、
黒地にベロアの赤い薔薇が浮いた、足元はチュールでもろ見えの、
身体の線が出る、見ようによっては蓮っ葉な、女性性が前に出た、『色っぽい』服。
画像

私は、その服を中心に芝居を読み直した。
本当に身体を売っていて、でもアマチュアっぽい娼婦で。
み群戯曲は詩劇だから、少し歌い上げ気味にしていたセリフを、リアルで世話な方向へ戻す意識をした。
実際に演技がどの程度変わったかはわからない。私の意識の置き所の話。
でも、その場面に『居る』ことに、気持ち悪さはなくなった…

あとは、本番でのメイクと髪型。
これもお客様と、まさに『一目で』共有できる貴重な情報だ。
前ログに書いたけれど、上月佐知子さんがセリフにある「ほくろ」を描いてくださった。
公演後すぐ午後公演の客入れをするので、キャラクターのメイクは落としてしまったので、写真を撮り損ねた。残念。
これはほくろと娼婦アイライン口紅を落としちゃった後のベースの顔。
(娼婦の派手メイクは暗い裏でぱぱっとやらなきゃならなかったので大変だった)
画像

うーん、やっぱりこの間アップしたスッピンとはだいぶ違うね。

お客様には見えない部分。
私たちはこんな風に、いろんなアプローチで役柄に、芝居に、近づいていくのです。
いや、私だけか? いらんコダワリっちゃあコダワリ…かもしれませんが(笑)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あゝ、やっぱりこんな衣裳だったんだ。だから、やっぱり「美女」なんだよ、りんりんさんに求めるものは…、誰もが…。見られなかったこと、悔しい、すごく。なんか、でも芝居が見えてくるなあ…。いい舞台だったんだろうなあ…。だって、こんないい顔で写ってんだから。
haru
2010/11/20 22:17
>haruさま

自分の中の数少ない(残り少ない、かも)『美女成分』を
無理やり増幅してがんばってます。衣裳やメイクの力を最大限活用して…(笑)
抜粋再演はお客様にはやはり若干難しかったようですが、
5年の間をおいて同じものに向き合うのは私にとっては得がたい経験でした。

2010/11/26 00:21

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